親のお金に期待をしすぎない
二世帯住宅をするにあたり、「親が建築費用の半分くらいは出してくれるだろう」「毎月4?5万円は生活費を出してもらう」など、親からの出資を当てにして資金計画を立てる人も少なくないでしょう。しかし、親も年金だけでは生活ができない可能性があるため、今はお金を出す考えがあっても、先々状況が変わる可能性があります。また、親が亡くなってしまったら親からの資金的なサポートもなくなります。これから先、急に生活環境が激変するなど何が起こるかわかりません。そのため、資金計画を立てる際は、親からのお金を当てにしてはいけません。あくまでもサポートなしの状態で余裕のある資金計画を立てることが大切です。親のお金に依存しすぎると、状況が変わった際に対応できず、家族全員に迷惑をかけることになってしまいます。
資金計画は返済可能額を基準にする
資金計画を立てる際に大事なことは、借入可能額ではなく返済可能額を基準として考えることです。例えば、フラット35の場合、年収が400万円未満だと総返済負担率が30%以下、年収400万円以上だと35%以下まで、借り入れが可能という基準があります。しかし、借入可能額いっぱいにローンを利用してしまうと、毎月の返済が大変なことになってしまいます。
年収が600万円の人は年間返済額が最大210万円、毎月返済額は最大17.5万円となります。年収600万円あったとしても、毎月17.5万円のローン返済は大変ですし、現実的とは言えません。ローン返済以外にも、将来の修繕・リフォーム費用の積立や固定資産税、子供の教育費、自分たちの老後資金の蓄え、車のローンなど、さまざまな費用がかかります。
また、住宅ローンは35年返済が一般的です。今後収入が確実に上がればいいですが、病気やケガで収入が途絶えるかもしれませんし、転職で収入減になる可能性もあります。
30年以上も返済が続くため、借入可能額を基準に資金計画を立ててしまうと破産することも考えられます。そのため、あくまでも借入可能額ではなく、自分たちが返済できる金額をベースとして資金計画を立てるようにしてください。
資金計画には諸費用分も入れること
二世帯住宅に限ったことではありませんが、家を建てる際は建築費用とは別に諸費用がかかります。諸費用は建築費用の1割程度かかることもあるため、決して小さい金額ではありません。建築費用が3,000万円であれば、150万円?300万円程度の諸費用を覚悟しておきましょう。登記費用や税金など、さまざまな費用が該当します。
諸費用の主な内容は以下のとおりです。
- 建築に関する費用
- 登記費用
- 住宅ローンに関する費用
- 建て替えに関する費用
- 税金
それぞれの費用の具体的内容について見ていきましょう。
①建築に関する費用
建築に関する費用には、建築確認申請や設計図書の作成費用、地鎮祭や上棟式、竣工式費用、近隣への挨拶回りなどの費用があります。
②登記費用
抵当権設定登記や建物表示登記、建物所有権保存登記、滅失登記費用などがあります。
③住宅ローンに関する費用
住宅ローンに関する費用には、融資手数料や保証料、団体信用生命保険料、火災保険料などがあります。
④建て替えに関する費用
建て替えにあたり、引っ越し費用や仮住まい費用、荷物の処分費用などがかかります。
⑤税金
家を建てると、印紙税や登録免許税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税などがかかります。
建築費用の他に、このような諸費用がかかることも理解し、諸費用も含めて資金計画を立てるようにしてください。
老後資金は大事
親は「二世帯住宅を建てるのであれば、子供たちの負担を減らすためにすべての蓄えを建築費用に充てよう」など、子供を想う気持ちから、思い切った行動に出がちです。
しかし、これまでコツコツと老後のために貯めてきたお金を使うのは危険です。年金だけでは生活していくことが難しい可能性があります。建築費用を出せば、確実に子供たちが老後の生活を見てくれるのであればわかりますが、そのような保証はないでしょう。二世帯住宅をするのであれば、親世帯・子世帯どちらも幸せに生活していくことを目指さなければなりません。老後資金に手をつけてしまうと、これからの生活が苦しくなり、子や孫と一緒に遊ぶ機会も少なくなってしまいます。
子供をサポートしたいという気持ちはわかりますが、老後の蓄えを全部使うようなことはやめましょう。
万が一の際の蓄えも確保しておく
二世帯住宅を建てたは良いものの、その後、親子間にトラブルが起きて同居を解消するケースもあります。同居の解消となると、土地や建物を売却して新たな住まいを確保したり、別の子供を頼ったり、トラブルが起きても我慢して住み続けるなど、苦しい選択肢ばかりになります。二世帯住宅を建てる際にお金を使ってしまうと、このような際に希望通りに身動きがとれなくなってしまうため、万が一に備えて蓄えを確保しておくようにしましょう。
設備選びは予算を決めて動く
住宅会社から設備機器の提案を受けますが、割安なものが多いです。大量仕入れしているため、有名メーカーのクオリティの高い設備機器が市場価格よりも安く手に入ります。他の家と被る可能性はありますが、コスト重視であれば業者が提案する設備機器を選ぶのが無難でしょう。
しかし、どうしてもこだわりたい場合はショールームを見学して希望の設備機器を選ぶといいでしょう。ただし、ショールームで選ぶとコストが高くなりがちですので、資金に余裕がないと予算オーバーしてしまいます。
ショールームへ行く前に予算を決めておく
ショールームには、オシャレで魅力的な住宅設備がたくさんあります。種類も豊富なため、ついつい希望するものよりワンランク上のものを選んでしまいがちです。予算を決めていなかったり、漠然とした予算設定の中でショールームに行くと、高額な買い物をしてしまいます。事前に家族でしっかりと話し合い、キッチンやトイレ、洗面化粧台など、設備ごとの予算を決めたうえでショールームに見学に行くようにしましょう。
予算オーバーしてしまうと、他の部分を削るか、予定よりも高い返済負担となってしまいます。「せっかくのマイホームだから」「長く使うものだから」など、高額な商品を買う言い訳を許さないようにしてください。
予算内で抑えるために
ショールームで設備を見る前に、住宅会社の見積もりをチェックして、予算に余裕があるのか把握しておきましょう。そして、ショールームでは予算を伝え、予算を超えない範囲で設備を紹介してもらうようにしてください。そうすることで予算の範囲内で選ぶことができます。
仮住まいの場所や引っ越し時期を確認する
仮住まいの引っ越し時期は、余裕を持たせましょう。余裕がないと慌てて探すことになり、家族の希望間取りと合わない、通勤時間がかかる、料金が高い、住環境が悪いなどの仮住まいになってしまいます。仮住まいのコストがかかりすぎると、予算をオーバーしてしまう可能性もあるため注意が必要です。できるだけ早いタイミングで探しはじめ、コストが安く希望に合う物件を見つけましょう。
仮住まいの件は住宅会社に相談しよう
仮住まいを探す場合は、住宅会社に相談してみましょう。住宅会社であれば、希望条件に近く予算に収まる仮住まい物件を紹介してくれる可能性があります。自分たちで探す場合も、住宅会社には相談をしてみるといいでしょう。紹介してもらった物件の方が魅力的かもしれません。