工事の流れは4段階
木造住宅では工事の工程は主に4段階に分かれます。
その4段階とは
- 仮設工事
- 基礎工事
- 主体工事
- 土台工事
- 建て方工事
- 仕上げ工事
になります。
仮設工事
仮設工事とは簡単に言うと建物の配置決めです。
地縄張りを行い建物のコーナーに杭を設置して縄を張ります。
これで建物の外形がわかります。
住宅の基礎工事
仮設工事の次は基礎工事です。
やはり基礎がしっかりしていないと土台がないですから、
人間に例えれば足腰が弱い状態になってしまいます。
基礎工事の大きなポイントはズバリ水です。
コンクリートと水との配合は強度に大きく影響します。
施工する時にドシャ降りだと雨の水分がコンクリートに入ってしまうので避けましょう。
たとえ工期が3日伸びようと1週間伸びようと、
ドシャ降りの雨の中での基礎工事は中止したほうが良いです。
基礎は一般的にはコンクリートで造ります。
コンクリートで作らないものはプレハブのプレキャストぐらいでしょう。
そうなると真冬と真夏は基礎工事では注意が必要です。
真冬はコンクリートの水分の配合条件が悪いと乾燥しないケースがあります。
逆に真夏は降雨などで湿気が多く含まれることが多いです。
また基礎工事のときは養生も必要です。
養生しておけば、万が一突発的に雨が降っても水が入りません。
基礎では配筋も重要です。
木造住宅であっても配筋により様々な角度が変わるので、
配筋のピッチが合っているか、縦横が合っているかを確認しましょう。
また施工能力も見ておきたいです。
当然基礎は枠で型枠を作るため、施工の順序が良いかどうか。
それとしっかりと縦横やピッチができているかなど、デリケートな点を見ていきましょう。
大工のひとりごと
中野区のお客様だったのですが、夏に基礎工事をしていた時です。
お客さんから会社に電話が来ました。
「基礎が雨浸しだよ、どうしてくれるんだ」という内容のお電話でした。
基礎を始めた時からドシャ降りの雨が二日続き、
養生シートは張っていたんですが、雨で一杯になってまるでプールのようでした。
これは結局請負業者がお客様に説明をしておらず、
お客様を不安にさせたため、このようなクレームが発生したのです。
もちろん雨の吸出しをして『強度には問題ありません』と納得していただいたのですが、
屋根ができるまでは自然災害にも注意しなければいけませんよね。
親切な業者であれば一言事前に説明して
「こういう事をやります」と了承を得ています。
つまり、良い請負業者の条件の一つとは、
お客様を不安にさせない業者ということなんですね。
私もこういった経験からその点を学びました。
土台工事
次は土台工事、つまり土台造りに入ります。
基礎が出来あがり、通常の木造住宅では土枠として木材を通します。
そして木材の上に柱を立てます。
例えば鉄骨住宅であれば、土台というのが鉄になりますし、
2×4でもそのような土台は必ずあるものです。
これはつまり、基礎の上にいきなり柱を立てることができないということです。
その柱を立てる場所を土台といいます。
土台づくりの際は、2つ注意点があります。それは
- 防腐処理
- シロアリの処理
の2つです。
日本は湿気が多いので、土台はある意味で過酷な環境といえます。
そこで土台が腐らないように防腐処理と、
木材の天敵であるシロアリ対策が重要です。
シロアリ対策と防腐のための処置は業者によって防腐材の量が違ったり、
処理の仕方が違ったりしますが、
この処理をどのように行っているかを確認の上で説明を受けた方が良いでしょう。
建て方工事
土台が完成したら建方工事を行います。
建て方は人間でいったら骨のようなものです。
建方工事は土台の上に床組みをして、
そこから柱と梁を作って屋根を付けていきます。
建方工事で1番重要なのは、まずは設計の構造図どおりに作られているかです。
2番目に重要なのは、建方工事の肝は柱と梁ですから、
その接合部分が強固にできているかどうかです。
釘で留めるケースもありますし、金具で留めるケースもあります。
この辺りの工事は木造住宅であればまさに大工の腕の見せ所ですね。
2×4箱の部分は簡易化されているので、あまり大工による力量の差が出ません。
施工工事は外回りから徐々に内部へ行うのがポイントです。
まず外回りから造りその後内部工事を行うことによって安定性が生まれます。
建方で重要なポイントの3つ目が外壁の下地材がどうなっているかです。
つまり壁の取り付けと底に入れる断熱材がどうなっているかということですね。
断熱材にもグラスウール、ロックウールなど色々な種類のものがあり、
防音性や遮熱性などの機能を持っています。
しかし基本的には厚みがどの程度あるのかで、機能が変わってきます。
断熱材は厚みを重要視してください。
大工のひとりごと
家の建物が完成した後の譲渡式は、今は行わない方も多いですが、
大工の立場から言うと、やってくれたほうが嬉しいですね。
簡易的でも結構なので、四隅をお塩とお酒で清める。
お祓いをします。
神主を呼ぶ必要はありませんが、
お客様にも思い出づくりの意味でお勧めしています。
仕上げ工事
今度は建方の主体工事が終るといよいよ最終形の仕上げ工事です。
まず屋根工事に入ります。
屋根工事は屋根の骨格を作り、そして屋根葺き材の施工を行います。
この時に一番重要なのは防水処理です。
日本は降雨量が多く多湿な気候です。
屋根の下地、屋根葺きにおける防水処理をしっかりしてないと、
後々大きな被害を巻き起こしかねません。
水分や湿気は家の木材を腐食し、カビを発生させます。
通気性の悪い家は水分がこもり、カビが繁殖しやすくなります。
うすると常にカビ臭さが漂う家になってしまいます。
屋根工事の前には請負業者に、
「屋根工事はどういう所がチェックポイントですか?」と聞いてみてください。
スラスラと答えられたらそれは良い業者さんだと言えます。
またもう一つ屋根工事のチェックポイントというと、金物の接合です。
屋根には切妻・寄棟等の造りがありますが、いずれも接合しなくてはいけません。
実は接合部分は水漏れの発生源になることも多いです。
そこで金物をどのように取り付けるのか、というのも腕の判断基準になりますね。
大工のひとりごと
私の苦い思い出になりますが、
住宅の防水工事で思わぬクレームになったケースがありました。
狛江のお客さんでしたが、建方工事の時に、
2階の広くつくったバルコニーに柱があるとクレームが入りました。
これは完全に我々の説明不足です。
2階のバルコニーに出る時の段差が25cmもあり、お客様の年齢は63才でした。
「こんなに段差が高いと危険なので低くしてください」
「柱は眺望に関わるので取って欲しい」
と言われました。
建方工事中でしたが、結局図面と異なるのですが、
後から工事をして修正しました。
しかしその結果当初の予定の防水工事と違う設計図書になってしまい、
3年後にバルコニー部分で水漏れが起こり、
内部に結露が入ってカビが発生してしまいました。
やはり防水処理は大変重要なのです。
住宅の防水処理のチェックポイントは
- サッシ周りの防水を防水テープで行っているか
- 外壁材の防水工事ができているか
- 屋根と外壁の接合部分の防水処理
接合部分は大変に水分が侵入しやすいですが、やはり建築の知識のない方ではそれがわからない。
だからこそ「防水工事はどのようにしているんですか?」と聞いてほしいです。
30年以上良い状態で家を持たせようと思ったら、私は防水処理こそが命だと考えます。