戸建て住宅のメンテナンス費用は意外と高い?
注文住宅の購入時や住宅ローンを組む際、
毎月の返済額には気を使っても、
メンテナンス費用までには目が向かないことも多いのではないでしょうか。
「10年、20年先のことだから...」と放っておくと、
将来困ってしまうことにもなりかねません。
一戸建てのメンテナンス費用は自分で用意しなければなりませんから、
いざ必要な時に慌てないよう、購入時から考えておくことが望ましいです。
一戸建てにおける外壁塗装やクロス、
その他のメンテナンス費用について、
どう考え、積み立てておくべきかご紹介します。
メンテナンス費用を用意しておくメリット
一戸建て住宅では、
竣工から20年程度で大きな修繕が必要になると言われています。
そのため、住宅購入者さんの中には、
「退職金で少し大きなリフォームをすればいい」
と考えている人も多いように感じます。
確かに、リフォームの目安としては退職時期は有効です。
子供の独立、自身の定年、身体の変化……さまざまな状況から、
老後を迎える準備が整っている時期であり、
老後のライフスタイルに合わせて住環境を整えやすいからです。
しかし、メンテナンスに関しては退職まで待つ意義はあまりありません。
むしろ、早め早めに行っていた方が恩恵は大きいのです。
住宅メンテナンスはこまめに行う方が割安
竣工から20年を目安にするよりも、
もっと早い時期からこまめにメンテナンスを行うことで、
結果的に総額費用を抑えることができるとされています。
例えば、外壁塗装は壁や屋根の劣化が進むと、
塗り替え効果が落ちるとされています。
逆に早く塗装を行えば、カビやひび割れなど
経年劣化の進行を抑えることが期待できるのです。
また、ガス(IH)コンロやトイレのパッキンといった消耗品は、
10年程度で交換時期を迎えるよう設計されているものが多いです。
本体は利用可能でも、何かと出費が発生するようになるため、
当初から「10年程度でメンテナンス費用がかかるようになる」と見込んでおきたいものです。
■理想はマンションの修繕積立金
長期修繕計画に基づき修繕費の積立を行う
「マンション修繕積立金」は、いわばメンテナンス費用の理想形です。
毎月1万円でもいいので、修繕費を積み立てていけるといいですね。
メンテナンス費用の目安
実際に、メンテナンス費用はどの程度用意しておけば安心なのでしょうか?
金額の大きい外壁や屋根のメンテナンスと、
クロス(壁紙)の張り換えの相場を見ていきます。
- 外壁塗装
- クロス(壁紙)張替え
足場代なども含めて100万円程度。
屋根の振り替えも含めると150万円程度かかります。
クロス張り替えの相場は、
1平方メートルあたり0.15~0.25万円(畳の場合1畳1~2万円)です。
面積にもよりますが、張り替えるなら部屋の一部分ではなく、
全体的に行うことになると考えておきましょう。
たいていの場合、同じ品番のクロスが廃番になっているため、
業者から全面張り替えを勧められることが多いのです。
ある程度の金額を覚悟しておきたいですね。
仮に10年後に外壁塗装をするとなると、
それだけで1年あたり10万円を積立てなければなりません。
そのほかに固定資産税や住宅ローンの支払いもありますので、
気を強く持ってメンテナンス費を準備していく必要があります。
■購入時の返済負担率にメンテナンス費も考慮
10年後、20年後のメンテナンス費で苦労しないためにも、
購入時からメンテナンス費を必要経費として見込んでおきたいです。
ここで参考にしたいのが「返済負担率」です。
返済負担率とは「収入に対する返済額の割合」のことで、
マイカーローンや家電ローン、クレジットローンなど、
すべての返済金の合計の収入に対する割合を計算します。
例えばフラット35の場合以下のようになっています。
年収 | 400万円未満 | 400万円以上 |
基準 | 30% | 35% |
最近は返済負担率を、上記の表よりもシビアに考える購入者が多く、
年収400万円未満の世帯場合、
より低い20%程度の返済負担率がいいともされています。
仮に返済負担率を25%と考えた場合、
返済金のなかに、返済金ではないがあらかじめ支出を見込んでいる出費として、
メンテナンス費用も加算して考えることをおすすめします。
そうすることによって、当初からメンテナンス費用を、
別建てで積み立てるという意識も生じやすいのではないでしょうか?
また、依頼先ハウスメーカーに、
メンテナンスの頻度や費用の目安を聞いておいたり、
住宅ローンを組む金融機関の担当者に、
メンテナンス費用の積み立てを考慮していると伝えておくことも、
有効な予防策になります。
まとめ
新築購入時から将来のメンテナンス費用のことまで考えるのは難しいかもしれません。
しかし、忙しく毎日を過ごしていると、10年や15年はあっという間なものです。
できる限りこまめなメンテナンスを行い、
末永く快適な住まい、そして家計を守っていきたいものですね。
参考:長期使用(60年)版メンテナンススケジュールガイド|住宅産業協議会
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