二世帯住宅は、事前の話し合いが重要
最近は、テレビをつけると景気悪化や事件・事故、災害に関するニュースなどが中心です。このような世の中で、少しでも安心・安全に生活できる基盤を持ちたいと考える人も多いことでしょう。家族がいつでも近くにいて、子育てや将来の介護もしやすいことから最近注目を集めているのが二世帯住宅です。
二世帯住宅のメリットは?
子世帯のメリット
- 低コスト
- 子育てがしやすい
- 両親のこれからの世話
親世帯のメリット
- 家の管理
- 高齢者を狙う犯罪への不安
- 病気や介護への不安
- 老朽化による家の性能への不満
二世帯住宅は、子世帯・親世帯どちらにとっても経済的メリットもあります。このように、二世帯住宅にはたくさんのメリットがあるため、すぐにでも計画を進めようと考えがちですが、二世帯住宅が原因で親子間の関係に溝ができることもあるため注意が必要です。
よくある二世帯住宅のトラブルは?
私が見てきた中では、二世帯住宅で一緒に住もうと考える親子のお客様は、基本的には仲の良い方が多かったです。
親子間の関係性が壊れる時の主な要因には以下のようなものがあります。
- プライバシーの問題
- ライフスタイルの違い
- 価値観の違い
- 経済的負担の偏り
職業柄、親だけでなく同居しない兄弟・姉妹も一緒に話し合って、不動産や相続の専門家に相談するのを怠ったために、予想しなかった相続等が引き起こす悲しい事例をいくつも見てきました。
【ケース1】
Aさんは3人兄弟の1番上のため、以前から親の面倒は自分が見るものだと考えていました。父親が定年退職をしたため、Aさんは兄弟に親の面倒は自分が見ると話し、そのまま二世帯住宅を建てて両親とAさん家族で一緒に生活を始めました。二世帯住宅の建築費用はAさんの住宅ローンと父親の退職金で半分ずつ負担しています。
それから数年後に親が他界し、遺品整理を始めた頃、兄弟から連絡がありました。内容は親の財産を3人兄弟で平等に分けてほしいというものです。親の財産は、Aさんが住んでいる土地・家の2分の1だけです。預貯金もありますが、退職金を建築費用に充てたこともあり、金額はほとんどありません。
兄弟からは平等に分けてほしいと言われるが、Aさんは住宅ローンもありますし、子供の教育費もかかるため、代わりに支払う蓄えはありません。そのため、兄弟とは揉めてしまい、築10年程度の家を取り壊して土地を売り、遺産を分けることになりました。
【ケース2】
Bさんは、父が他界したので母の面倒を見るために、母・夫・子供の4人で実家に同居することになりました。Bさんには離れて暮らす兄がいますが、兄も母の面倒を見るために同居することに賛成でした。
そして、母が他界した後、兄はBさんへの感謝の気持ちとして親の唯一の財産である土地・家にはBさんがそのまま住み続けることに同意しました。また、登記名義だけは兄妹で2分の1ずつ相続することにしました。
しかし、数年後、兄の職場が倒産してしまい、兄は職を失ってしまいます。生活に困るようになった兄は2分の1の持分がある土地・家を売却してお金を得たいとBさんに請求してきました。結局、Bさんは土地・家を売却することはしない代わりに、銀行から高い金利でお金を借りて支払うことになったのです。
【ケース3】
Cさんは両親と祖母、そしてCさん家族の三世帯で古家に住み、建て替えを検討していました。家の土地だけでなく、農業をしている土地もありましたが、都市開発の影響で土地代が値上がりしていることを知り、一部を売却して建て替えの建築費用に充てようと考えました。しかし、売却代金や名義のことで不安もあったことから、まずは税理士に相談することにしました。
税理士からは、不動産の名義が祖父になっていたこともあり、相続税対策を勧められました。具体的な提案としては、型が悪く道路付けが良くない農業の土地は兄妹に相続、今住んでいる土地は南側・西側に大きな道路があるため北側に三世帯住宅を建てます。そして、大きな道路に面している部分を相続時に売却して納税資金に充て、残ったお金を兄妹で分けるというものです。こうすれば、分けたお金で住宅ローンの返済もできます。
この提案は兄妹も賛成したため、税理士から紹介された建築業者で三世帯住宅を建て、一緒の生活を始めました。しかし、しばらくして祖母と父が亡くなり、当初予定通りに土地を売却して相続手続きが終わった頃、大きな問題があることに気づきました。
土地はマンションディベロッパーが購入していたこともあり、家の前に6階建てマンションが建ってしまったのです。マンションのせいでせっかく建てた家には日が当たらず、1日中真っ暗です。
このような状況になってしまったのには、以下の要因が考えられます。
- 親や兄妹と事前の話し合いが十分にされていないこと
- 不動産や相続の専門家に相談しなかったこと
家を建てることや相続することは、初めての方が大多数なのでわからないことだらけです。しかし、わからないからという理由で問題を放置することはよくありません。
家族での十分な話し合いや専門家への相談を怠ってしまうと、あとで後悔する可能性があります。先送りや放置せずに、問題に対してしっかりとした対策をとることで、家族全員が仲良く幸せに暮らしていくことが可能です。
遺産相続で揉める?
上記問題だけでなく相続問題が要因になることもあります。特に財産が家だけの場合こそ注意しなければなりません。二世帯住宅は、親が所有している土地に子供が家を建てることが一般的です。その際、子供名義または親子共有名義になっています。子供が一人っ子で兄弟・姉妹がない場合は問題ありませんが、兄弟・姉妹がいる場合は、親が亡くなった後に揉める可能性があります。
なぜなら、親の相続財産は家(土地)しかなく、その家には子供が既に住んでいますし、公平に分けることができないためです。家を売却して相続財産を分割する、という話が出る可能性もあります。
財産分与が難しい不動産
財産が現金や預貯金の場合は法定相続分通りにきれいに分けることができます。しかし不動産は評価と分割が難しいため、平等に分けることは難しいです。かつての民法改正前までは、長男が財産を相続していました。しかし、現在は平等相続制度になっているため、相続する権利のある人で財産に対する割合が決まっています。そして、どのように財産を分けるかは相続人の自由です。遺言がない場合は、相続人同士が話し合い決定します。
財産が現金や預貯金の場合は、相続する権利のある人たち同士、割合に応じて1円単位で平等に分けることが可能です。しかし、自宅などの不動産の場合は違います。まず、利用価値がなく売却もできないような不動産を相続した場合は、固定資産税などのコストが発生するだけなので負の財産となります。ただし、都心の物件のような、利便性が良い不動産であればとても有効な財産となります。そのまま住んでもいいですし、売却をして一定の金額を得ることも可能です。
もし、同じ不動産に住みたいと考えている人や売却して現金化したいと考えている相続人が複数いた場合は、どうすればいいのでしょうか。
まず、不動産は以下の条件が整っていることで、はじめて値がつきます。
- 市場ニーズに合っている
- 買う人がいる
- ライフラインが整備されている
例えば、相続する権利のある人たちで土地を分けても、1人あたりの面積が狭く何も使いみちがありません。仮に売りに出しても、それほど利用価値がないため売却が成立するのは難しいでしょう。売却が成立しても元々の財産価値よりも低くなってしまいます。
建物も同様です。そのまま兄弟姉妹で平等に分けるとしても、トイレや浴室、キッチンなどの設備を分けることはできませんし、部屋を分けても使いようがありません。
二世帯住宅に親世帯と住む場合は、分割が難しい不動産を専有することになってしまいます。そして、親が家の建築費の一部を負担している場合は、相続財産の分割の偏りが大きくなってしまい、争いの原因となる可能性があります。
親の持っている土地に家を建てる場合は、親や相続人と事前に話し合うことが、円満相続の鍵です。
独立性がポイント
二世帯住宅は、親世帯・子世帯が同じ屋根の下で生活をします。そのため、何気ない一言や気の遣いすぎ、善意があだになるなど、些細なことでトラブルが起きてしまいます。トラブルが起きたり、雰囲気が悪くなったときに、距離が取れる空間があれば気持ちを鎮めることが可能です。寝室や趣味の部屋、書斎など、二世帯住宅といえども独立性を保つようにしましょう。また、部屋が隣同士などで騒音が気になり苛立つ場合などは、間に収納を設けたり、防音性の高い材料を選ぶなどすることが大切です。家族全員が快適な生活を送れるように、独立性を大事にするようにしてください。
お互いの気配は感じるくらいがベスト
独立性の大切さを紹介しましたが、独立性がしっかりしすぎて同じ屋根の下で暮らしながら、お互いがいるかどうかわからない状況も問題です。最低限のコミュニケーションがないと、快適に暮らすことが難しくなりますし、防犯面や安全面にも弊害が出てしまいます。そもそも、コミュニケーションをあまりとらないようであれば、二世帯住宅で暮らす意味もほとんどありません。「気がついたら●●だった」など、病気やケガの発見が遅れても問題です。
ある程度の独立性は確保しながらも、お互いの気配は感じられる状況を留めておくようにしましょう。しっかりとコミュニケーションもとり、独立性も保てるのであれば、1番良いでしょう。
揉める前によく話し合う
二世帯住宅をつくる前に、親世帯を中心に家族の生活や状況、将来への考え方について話し合うこと、親の意思を確認しておくことが大切です。
話し合う際は、次のポイントに注意しましょう。
- 親は病気や介護のときに誰に面倒を見てもらいたいのか
- 家とお墓を誰に継いでほしいのか
- 子供とその家族の現状報告
このような内容について話し合いをしたうえで、相続財産の分割や二世帯住宅の理解を求めることでトラブルを防げます。
関連ページ一覧
最近は、テレビをつけると景気悪化や事件・事故、災害に関するニュースなどが中心です。このような世の中で、少しでも安心・安全に生活できる基盤を持ちたいと考える人も多いことでしょう。家族がいつでも近くにいて、子育てや将来の介護もしやすいことから最近注目を集めているのが二世帯住宅です。二世帯住宅のメリットは...
二世帯住宅には兄弟姉妹と事前に話し合っておかないと後に揉めるというデメリットがありますが、新たに土地を探す手間もないし、お金もかからないといったメリットもあります。メリット・デメリットを把握したうえで判断することが二世帯住宅を建てる上でとても大切です。メリット① 建築費を節約できる二世帯住宅には、完...
二世帯住宅を建てて、親子が一緒に住むということは基本的には同居する子供世帯が親の介護をいずれ引き受けることになります。最近は兄弟の数が減っているとはいえ、それでも2兄弟、3人兄弟の間で遺産相続について揉めることも数多くあります。残念ながら、私も遺産相続で揉めて疎遠になってしまうご兄弟を何件も見てきま...
親が所有する土地に家を建てる場合は、事前に相続対策をすることが大事です。相続対策は家を建てる人の自己防衛策であり、大切な財産を守るためにとても重要なことです。では実際にどのような対策が必要で有効なのか見ていきましょう。家族で争わないための対策相続対策には、以下3つの対策があるといわれています。争わな...
二世帯住宅を建てる際には、敷地について後々のトラブルを避けるために、いくつかの点を確認しておきましょう。想定する規模の住宅を建てられないこともあります。敷地の調査をおこない建物の大きさを確認する家族が末長く安心・安全に暮らせる家づくりを始める前に、敷地調査をおこないましょう。なぜなら、敷地調査の結果...
接道条件によって建築面積が変わる建築基準法では接道義務があります。これは、建築基準法で定められた道路で幅が4m以上のものに、2m以上接していなければならないというものです。この条件を満たしていない場合は、基本的に建物を建てることはできません。ただし、敷地に面している道路幅が4m未満であっても、敷地を...
家を建てることになったら、次に考えるべきは家の間取りです。間取りを後々買えることは難しいので、ここできちんとした設計プランを建てる必要があります。どういった点に気を配るべきなのかを、ここではお伝えします。親世帯・子世帯それぞれのライフプランをつくる二世帯住宅は、完全分離型や一部共有型、完全共有型など...
リフォームをするメリット・デメリット建物の築年数が古い場合や間取り・設備等に不満がある場合は、リフォームも選択肢の1つです。ただ、築年数がとても古い家で老朽化が進んでいる場合は別ですが、築年数が10年〜20年程度でメンテナンスが行き届いている家を取り壊すのは、なかなか考えづらいものです。家の性能も悪...
建築費の負担については、親子間で大きく揉めることはそう多くはないです。それよりも問題となるケースでよく見られるのは、予算不足に陥ったケースです。特に親世帯自体が、自分の親から家を相続したという世帯。つまり、親も子どもも自分で家を建てたことがないという二世帯住宅の場合、建築の諸費用や家を建てる際の相場...
親のお金に期待をしすぎない二世帯住宅をするにあたり、「親が建築費用の半分くらいは出してくれるだろう」「毎月4?5万円は生活費を出してもらう」など、親からの出資を当てにして資金計画を立てる人も少なくないでしょう。しかし、親も年金だけでは生活ができない可能性があるため、今はお金を出す考えがあっても、先々...
完全同居型の二世帯住宅のデメリット二世帯住宅の完全同居タイプの代表的なデメリットは以下のとおりです。お互いのプライバシーの欠如によるストレスの多い状況。性格が合わないと家にいても落ち着かないかもしれません。生活ルールやライフスタイルの違いが衝突を引き起こす可能性があります。完全同居タイプのデメリット...
出典:旭化成ホームズ「二世帯住宅」という住宅のスタイルは、1975年に旭化成ホームズが発売した「二世帯住宅シリーズ」に始まります。最近では二世帯の生活空間を切り離した「完全分離型」というタイプもあり、関心を集めているのをご存知でしょうか?こちらの記事では二世帯住宅の完全分離型や、その費用とメリット・...
理想の家づくりを実現するために【PR】
快適な生活を手に入れるためには注文住宅を建てることが理想的ですがデメリットも多く、成功するには注意が必要です。
失敗しやすい注文住宅を成功に導く最も重要なカギは
設計に充分な時間をかけることです。
特に間取りは非常に重要であり、家族の要望に合わせた部屋の配置が大切になってきます。
大工である私がたくさんのお客様から家づくりに悩んでなかなか進展しない時に見つけたのが「タウンライフ家づくり」でした。
「タウンライフ家づくり」では、複数のハウスメーカーがあなただけの「オリジナルの家づくり計画」を提案してくれます。
実際に利用してみて、私が感じたメリットは以下の5つです。
POINT
- 無料でわずか3分でネットで申し込みができる。
- 大手34社を含む1,080社以上のハウスメーカーから選ぶことができる。
- 注文住宅専用の間取り図や資金計画、土地情報や補助金制度の情報が手に入る。
- 他社の見積もりを見せることで、大幅な値引きが得られる。
- 限定のプレゼントも実施している。
選べる1,080社の中には大手34社のハウスメーカーも含まれているのは大きいです。
実際に、某ハウスメーカーさんから素晴らしい間取りを提供していただきました。
「強引な勧誘がないか」と心配していましたが、電話での勧誘は一度もありませんでした(メールでの勧誘はありました)
申込者全員にもらえる成功する家づくり7つの法則は50P以上の大ボリュームの情報量でした。これだけでもかなりお得だと感じました。
▼更に詳しく知りたい人は▼
タウンライフ家づくりの評判と口コミを徹底的に調べてみた
他社の見積もりがあったおかげで、300万円以上の値引きに成功した方もいます。
あなたも理想の注文住宅を手に入れたいのであれば、ぜひおすすめします!
▼公式サイトはこちらからご覧ください。 ▼