断熱工法には種類がある?
注文住宅で一般的に使われている断熱工法は主に2種類あり、
壁の内部に断熱材を入れる充填断熱工法と、
壁の外側に断熱材を張り付ける外張り断熱工法があります。
【内断熱・充填断熱工法】

【外断熱・外張り断熱工法】
充填断熱工法と外断熱工法には、
どのような違いがあるのでしょうか?
それぞれのメリット、デメリットをまとめてみました。
断熱工法比較
メリット |
デメリット | |
---|---|---|
内断熱 (充填断熱) | ・一般的に繊維系の断熱材が使用され、 施工もしやすいので価格相場が安い。 ・壁の内側で断熱をしているため 断熱面積が小さく、熱のロスが少ない。 ・屋根の形状に左右されずに施工ができるので 雨仕舞いに影響しない ・98%以上の住宅が内断熱工法のため、どこの住宅会社でも施工ができる。 | ・気密性を高めるためには別途工事が必要 ・フローリングの下、天井の上で断熱されるため 温度差が生じ、小屋裏や床下の利用が難しい ・断熱材を柱の間に入れて施工するため、 断熱効果が途切てしまい、断熱性能がやや劣る ・気密、通気がとれていないと、壁内部で結露が発生し、構造材を傷める危険性がある。 |
外断熱 (外張断熱) | ・壁の外、屋根で断熱しているため小屋裏や床下を室内と同じように利用できる ・構造の躯体部分での結露の防止ができるため構造材が腐食しにくい ・防湿、気密工事が容易 ・壁内部の配管、配線工事がしやすい | ・一般的にボード状のプラスチック系断熱材を使用、 施工手間も多くとられるので価格相場が高い。 ・暖房を使用すると壁の内部や小屋裏まで温めなければならないので熱のロスが大きい ・壁の外側に断熱材を張り付けるので、壁が厚くなり余分な面積が必要 ・施工性が特殊な為、外張り断熱に慣れた会社を選ぶ必要がある。 |
内断熱と外断熱のどちらが断熱性能に優れているのか?
これは、長年にわたって議論されていますが、
一般の木造住宅に関して言えば、それほどの差はありません。
外張り断熱を推奨している会社では、
内張り断熱を過度に非難しているところがありますが、
長年議論されているということはそういうことです。
ひとつ大きな差があるとすれば、
壁内部での結露の問題です。
内断熱工法の最大の弱点と言えますが、
通気層、防湿層を設けるなどの工夫をすることにより、
この結露の問題も解消できます。
こうなると断熱材選びのポイントは、かかる費用の差、
数ある断熱材の、どの特徴を選択するかになります。
防音性能のある断熱材や、吸湿性能のある断熱材、
結露のほとんど出ない素材で作られた断熱材など、
さまざまな種類が開発されているので、
注文住宅の担当者とよく話し合って、
あなたのライフスタイルに合った断熱材を決めるようにしてください。
そのほかの断熱工法例
【吹付断熱工法】
吹付断熱工法は、断熱材の原料を現場で直接撒布する工法です。
屋根や壁内部の隙間がなくなるので、
気密性が非常に高く、断熱性能と遮音性能に優れています。
施工者によってのムラがでにくく、作業時間もとても短いことから、
工期の面でも優れていると言われています。
私も、3回ほど吹付断熱の現場を担当した経験があります。
今まで1~2週間かかっていた断熱工事が、
1日で完了するので、工期が大幅に短縮されます。
断熱性能も比較的高いと感じています。(※施工時の体感)
施工面でのデメリットをあげるとすれば、仕様変更が難しくなる点です。
壁内部が断熱材で完全覆われる為、
変更やリフォームをするには、断熱材を破壊しなければなりません。
配管、配線の位置が正確につかめないので、
設備トラブルが発生した場合も対処が遅れます。
また、人体や家に対する悪影響がないとされていますが、
吹付断熱は新しい工法ですから、
詳細な説明を受け、納得したうえで決めるようにしましょう。
参考までに。私が普段行っている断熱例ですが、
内断熱工法でプラスチック系の断熱材を使用しています。
断熱材の厚みが50mmなので壁内部に空気層ができ、
構造材の腐食を防げますし、
断熱性能も上げることが出来ます。
とても暖かいと好評です。
ただ、繊維系の断熱材より相場が高いことと、
単純そうに見えて、施工が難しいことから、
取り入れている住宅メーカーは少ないです。