二世帯住宅での間取りで気を付けるポイント②
リフォームをするメリット・デメリット
建物の築年数が古い場合や間取り・設備等に不満がある場合は、リフォームも選択肢の1つです。
ただ、築年数がとても古い家で老朽化が進んでいる場合は別ですが、築年数が10年〜20年程度でメンテナンスが行き届いている家を取り壊すのは、なかなか考えづらいものです。家の性能も悪くないでしょうから、リフォームをすることで自分たちに合った使い勝手の良い家へと生まれ変わらせることができます。
もし、建て替えをする場合は、既存建物を取り壊すためのコスト負担も考えなければなりません。また、その際、仮住まい費用や引っ越し費用などもかかりますし、新たに建てる家の建築費用もかかります。しかし、リフォームであれば建て替えほど多額の費用がかかることはありません。また、建て替えよりも工期が短いため、新しい環境で早く生活を始めることができます。
ただし、リフォームをする際は注意点もあります。以下3つの点に気をつけたうえでリフォームを進めるようにしてください。
- 建物の状態や構造
- 希望内容をリフォームで実現できるかどうか
- リフォーム費用
①建物の状態や構造
リフォームを検討する際は、建物の状態や構造をチェックするようにしましょう。建物が激しく老朽化していたり、耐震性や耐久性など家の性能に問題がある場合は、大規模なリフォームになる可能性があります。また、場合によっては建て替えを勧められる可能性もあります。築年数が古い家やメンテナンスが不十分な家は、シロアリや腐食などの被害があるかもしれません。今後、家族が安心・安全に暮らしていける建物かどうか専門家にチェックをしてもらってください。
②希望内容をリフォームで実現できるかどうか
「リビングを20帖以上に広げカフェ風の雰囲気にしたい」「廊下や階段の幅を広げたい」など、さまざまなリフォーム内容の希望があることでしょう。しかし、どんなリフォームでも実現できるわけではありません。家の構造や予算によっては、実現できないリフォーム内容がたくさんあります。
早い段階で専門家に相談をして、実現可能なリフォーム内容かどうか確認しましょう。実現不可能なリフォームを考えても何のプラスにもなりません。
③リフォーム費用
あたりまえの話ですが、リフォームには費用がかかります。規模・内容にもよりますが、多額のリフォーム費用がかかることも決して珍しいことではありません。予算には限りがありますので、家族でリフォームの要望を出し合い、優先順位をつけ、予算内に収まる範囲で工事をする必要があります。
また、リフォーム費用をどのようにして捻出するのかも決めておきましょう。リフォームローンなのか現金・預貯金から出すのか、今後のライフプランを考慮したうえで精度の高い資金計画を立てることが大事です。
このような点に注意しながら、丁寧に進めていってください。
固定概念や先入観にはとらわれないこと
二世帯住宅を建てる際、1階には親世帯、2階には子世帯が住むことは多いです。親は高齢だから2階より1階の方がいいだろう、という考えから1階になることも少なくないようです。しかしだからといって、「うちの親も1階がいいだろう」と勝手に決めてはいけません。二世帯住宅のプランを決める際は、先入観を捨てて考えることが大事です。相手の希望も確認したうえで判断するようにしてください。
親には眺望や日当たりがよいところを
親が所有している土地に家を建てることは、親のことが心配なのも理由ですが、子世帯だけでは家を建てるのが経済的に難しくなっているのも理由の1つと言えるでしょう。そんななか、親の土地に二世帯住宅を建てるわけです。親のおかげで土地代がかからないため、親には眺望や日当たりがよい2階で生活をしてもらいたいと考えることもあるでしょう。
しかし、親の気持ちを確認しないで、プランを決めるのはNGです。前述のとおり、先入観や固定概念にとらわれても良いことはありません。
親の寝室は和室
「親はベッドよりもふとん派だろうから、寝室は和室の方がいいだろう」と、親の確認をせずに決めつけるのも先入観です。高齢だからといって寝室は和室を希望するとは限りませんし、フローリングよりも和室を必ず好むということもありません。
いずれにしても、固定概念や先入観にとらわれず、親に考えを聞き、一つひとつを確定させていくようにしましょう。
プライバシーの確保
二世帯住宅はみんなが触れ合う場とプライバシーを確保できる場がバランスよく必要です。みんなが触れ合う場があることで、コミュニケーションがとりやすくなり、毎日を楽しく過ごせます。触れ合いの場としておすすめなのは、やはりリビングです。毎日大勢が集まりますし、テレビを見たり食事をしながら会話を楽しめます。
プライバシーも確保する
みんなが触れ合う場をつくるだけでなく、プライバシーの確保も重要です。いくら仲の良い親子でも、お互いのプライバシーを確保できる場がないと、精神的に疲弊してしまいます。ストレスが溜まると、コミュニケーションをとるのが嫌になり、家庭内がギクシャクする原因にもなりかねません。二世帯住宅の場合、子供の配偶者も一緒に暮らしています。1度トラブルが起きると、なかなか関係修復するのは難しいものです。どれだけ距離が近い親子関係であったとしても、お互いのプライバシーが確保できる空間も必ずつくるようにしましょう。
家族みんなが幸せに暮らすためにも、家族で話し合って、みんなが触れ合う場とプライバシー確保をする場を両方取り入れるようにしてください。
地下室の活用も検討
敷地状況によって建物面積の上限も決まってきます。「各居室を広くしたい」「リビング・ダイニングをもっと広くとりたい」など、少しでも広い家づくりをしたいのであれば、地下室を検討するのも1つの方法です。
地下室は居室にもなる
地下室は、外気温に左右されにくいため、夏は涼しく冬暖かいのが特徴です。遮音性や防音性も優れているため、心地よい時間を過ごせます。外部からの視線を感じることもないため、プライバシーを確保した空間としても便利です。ワインセラーなどとしても使えますが、居室として使うと非常に便利です。
ただし、地下室をつくる場合は、土を掘り起こす必要などもあるため、多額の費用がかかります。また、排水や換気、設備などの影響で多くのランニングコストもかかるため注意が必要です。
地下室は大きく3タイプに分かれる
地下室は次の3つのタイプに分かれています。
●全地下室
全地下室タイプは、通風や採光がとれない地下室タイプになるため、居室として使うことは難しいです。そのため、倉庫や貯蔵室として使うのが一般的です。
●半地下室
半地下室タイプは、完全に地下部分が埋め込まれているわけではありませんが、天井高と地下部分の深さが建築基準法の規定を満たせば地下室という扱いになります。
●ドライエリア付き全地下室タイプ
地下居室の前を掘り、通風や採光をとっているタイプです。
全地下室・半地下室・ドライエリア付き全地下室と、それぞれのタイプで特徴が異なります。居室として利用できるかどうか、コストはどれくらいかかるか、事前に把握したうえで最適なタイプを選ぶようにしましょう。
親世帯・子世帯の荷物
親世帯と子世帯が一緒に生活をするわけなので、荷物を整理しないとすごい量になってしまいます。衣類などだけでなく、家電や家具も二世帯住宅のタイプによっては整理が必要です。
しかし、親世代は家電や家具、日用品など、なかなか捨てられない人も多いものです。以外に若い人たちは物への執着が薄く、すんなりと処分したりします。荷物が捨てられずにいると、家の収納スペースが足りなくなり、表に溢れて生活スペースが狭くなってしまいます。
親世代になると、記念日に貰ったプレゼントや旅行の思い出品などがたくさんあるため、捨てられないのもわかりますが、完全に不要な物もあるので一緒に荷物整理を手伝ってあげるといいでしょう。
収納スペースは用途に合わせてつくる
各居室、廊下などの収納スペースは、用途に合わせてつくることが大切です。収納スペースの形や棚の有無、奥行き、扉の有無など、どのような物を収納するのかイメージしたうえで決めていくようにしましょう。壁面収納やロフト、小屋裏など、さまざまな収納スペースの設け方がありますので、家族で話し合い適したスペースをつくるようにしてください。用途に合った収納スペースになっていないと、スペースの有効活用ができませんし、荷物が溢れかえる可能性があります。
バリアフリーの考え方
バリアフリーとは、手すりや階段、段差をなくしたり、身体が不自由な高齢者用の設備を設置することです。いずれはバリアフリー化が必要にはなりますが、現時点では親が元気な場合は、バリアフリーを徹底しすぎる必要はありません。最初から重装備にするとコストはかかるうえに、将来身体が不自由になったときに本当に適した設備であるとも限りません。
バリアフリーを導入する場合は、はじめは徹底しすぎず、親が必要になった場合にすぐに対応できるよう準備をしておくといいでしょう。
また、バリアフリー化する場合は、事前に親と話し合うようにしてください。親によっては、「まだ俺は元気なのに、勝手にバリアフリーなんかしやがって」とバリアフリー化が原因で怒る人もいるため、親に理解を得たうえで進めるようにしましょう。
寝室の近くにトイレを配置
将来のためにも、トイレは寝室の近くに配置するようにしましょう。高齢になるとトイレが近くなりますが、身体が不自由だと少しの距離でも遠く感じてしまいます。トイレや寝室の位置をリフォームで動かすとなると大変ですので、先々のバリアフリー化を見越して近くに配置しておきましょう。
また、トイレのドアは内開きにしない方がいいです。なぜなら、万が一、親がトイレで倒れた場合、助けようとしてもドアが体に引っ掛かり助けることができない可能性があるためです。トイレのドアは内開きではなく外開きにするようにしましょう。
家の間取りを考えるのは、とても楽しいものです。しかし、それだけに産みの苦しみも同時に存在すると言えます。ここにこういった部屋を置いて子供部屋はここ、こんな設備をつけようなど、いろいろなアイデアを盛り込みたくなる気持ちは分かるのですが、二世帯住宅の場合は、高齢者向けにバリアフリーを取り入れるなど考慮しなければいけないことがあります。
最近では2世帯住宅の分離の形についても、完全分離型が増えてきています。
これは、これまでの二世帯住宅の失敗事例を見たことから、多くの施工業者が二世帯住宅を建てたいという方に完全分離型を提案された結果だと私は考えています。
やはり親子といえども他人でありますから、何らかの衝突が起こる可能性があります。お孫さんがいらっしゃった場合は親世帯と子世帯を行き来することが多いと思われますが、そこで親子関係がギクシャクしてしまうとお孫さんにとっても大変不幸なことになってしまいます。
設備面では、ここでも取り上げていますが、意外と使えるのが地下室です。 建築費はやや高くなってしまいますが、限られた土地で収納スペースやホールなどフリースペースとして使いやすいです。
敷地によって地下室が作りにくい場所も有りますが、通常の平地であれば地下室を設けて様々な活用方法を考えてみてはいかがでしょうか。きっと楽しい、みんなで使えるスペースになるでしょう。
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