「20代の若いうちでも土地付き注文住宅は建てられる」
住宅会社のチラシやホームページにこのような文言が謳われていることがあります。「そんなわけがない」とあきれる方もいるかもしれませんが、実は十分実現可能な内容です。
いつかは、夢のマイホームを持ち家族で楽しく過ごしたいと思っている方も多いことでしょう。「どうせマイホームを持つのであれば、建売ではなく注文住宅で理想の家づくりをしたい」と考える人も少なくないでしょう。注文住宅ならではのメリットがたくさんあります。
とはいえ、「注文住宅は高いのではないか」と価格に不安がある人もたくさんいるでしょうし、「いつかマイホームを持てればいいな」と漠然と考え、具体的に何をしたらいいのかわからない人もいると思います。
- 土地を持っていないから無理だろう。
- 自己資金がないので買えないな。
- 注文住宅でいいのか迷っている。
- もっと年をとって買った方がいいかな。
など、悩んでいる人も多いでしょうが、土地や自己資金がなくても今の時代であれば注文住宅を購入できますし、注文住宅にはマンションや建売住宅にはない多くのメリットがあります。そして、少しでも早いタイミングで購入することで、毎月の返済負担が少なくて済み、現役時代に完済することも可能なのです。
ここでは、土地や自己資金がない、注文住宅でいいのか迷っている、20代で購入するべきか悩んでいるという方向けに、土地探しや情報収集の仕方、設計やアフターサービスなど、注文住宅づくりに関する必要な情報について紹介しています。
現在、注文住宅やマイホームを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
東京の注文住宅の費用相場【土地なし】
まず東京の注文住宅のの土地を持ってない場合の相場をみてみましょう。
都道府県名 | 延べ床面積( ㎡=平米) | 延べ床面積( 坪 ) | 建設費相場( 万円 ) |
---|---|---|---|
東京都 | 123.6 | 40.8 | 4,285.7 |
さすがに4000万円以上になると20代で可能かという人は限られてくるかもしれませんね。
全国の家を建てる費用は?
注文住宅の家を建てる全国平均費用は3,569万円です。
住宅金融支援機構が実施した家屋の概算費用調査(2022年度/令和4年)によると、注文住宅を建てた人の全国平均費用は3,569万円となりました。
その他の地域が気になる人はこちらを参考にしてみてください。
家を建てる時の必要な費用は?注文住宅の相場価格
理想の家とは、夢のマイホームとは
「庭が広くて家族が毎日楽しく過ごせるマイホームを持ちたい」
「大きな窓から明るい光が入り、温もりのある部屋でゆっくりと過ごしたい」
など、夢のマイホームに対して、いろいろな憧れを抱いている人は多いことでしょう。自分のライフスタイルや希望を反映させた持ち家にいつか住みたいと考えを持っている人はたくさんいます。
賃貸に住み続けるのではなく、家を購入する理由は人それぞれです。
たとえば、
「賃貸に住んでいて毎月10万円の家賃が無駄に思えた」
「2LDKの賃貸マンションに住んでいたが、家族が増え手狭に感じたので持ち家を検討し始めた」
「結婚して家族を持ったので団体信用生命保険のある持ち家にした」
「マイホームであれば土地が資産として残るため
「持ち家を買うと社会的評価を得られるから」
など、他にもいろいろな理由があります。「なんとなくマイホームを欲しくなったから」という人もいることでしょう。
しかし、欲しいという気持ちがあっても、なかなか簡単に手は出せないものです。なぜなら、マイホームは多くの人にとって一生に一度の大きな買い物であり、数千万円のお金が必要になるためです。
マイホームを購入した人の理由やきっかけ
賃貸から夢のマイホーム購入に至ったのは、どのような理由やきっかけがあったのでしょうか。実際に購入した人の声を見ていきましょう。
「これまで会社の社宅に住んでいたが、福利厚生費削減で家賃が上がることになった。社宅にある程度の家賃を払うのはもったいないので、引っ越しを検討。賃貸だと家賃がもったいないので、持ち家にした」(33歳、会社員)
「結婚が決まり、新居には最初から賃貸を考えず持ち家を選んだ」(25歳、会社員)
「ずっと賃貸マンションに住んできたが、子供が生まれ周囲への騒音を懸念してマイホームを購入した」(28歳、公務員)
「大きな犬を飼いたいと考えていて、マンションでは難しいのでマイホームを買った」(28歳、OL)
「たまたま夫婦で住宅展示場を見学したら、低金利の今が有利という話を聞き、生命保険も付くので持ち家を買うことにした」(29歳、会社員)
など、ここで紹介した内容を見ただけでも、いろいろな理由・きっかけがあることがわかります。漠然とした不安を感じて動けない人もいるとは思いますが、大事なのはお金の面などではなく、気持ちの面だったりするものです。
賃貸に住み続ける選択肢もある
「マイホームを持ちたいけど、35年もローンを払い続けられるか不安」という人も多いでしょう。また、「持ち家になると引っ越しができない」「マイホームは最初にまとまったお金がかかる」などの理由から、マイホームではなく賃貸での生活を希望する人もいることでしょう。持ち家と賃貸どちらの方が良いかは、人によって異なります。なぜなら、人によって価値観やライフスタイルが違うためです。
そのため、「絶対にみんな持ち家(賃貸)の方が良い」という答えはありません。
一般的に、持ち家と賃貸のメリットには以下のようなものがあります。
- 持ち家
- 自分のものになる
- ライフスタイルに合わせてリフォームできる
- 希望を反映させた間取りやデザイン
- 住宅ローンに保険が付いている
- ローンを完済した後は修繕費用等だけ
- 賃貸
- いつでも引っ越しができる
- そのときの収入に合った家に住める
- ローンというプレッシャーがない
どちらにもメリットがあるので、自分に合った方を選ぶといいでしょう。
ただし、ここでは家を購入した場合のメリットについて紹介していきます。しっかりとメリットを理解したうえで、マイホームを持つべきか判断するといいでしょう。家を購入すると住宅ローンに縛られることになりますが、自分の財産を持つことができます。また、家賃ではなくローンになることで、将来の資金計画や家族の人生設計が立てやすくなります。
そして、自分や家族は居場所を持つことができ、子供は実家を持てるようになります。
持ち家と賃貸の相場シミュレーション
「持ち家になると維持費が高いのでは?」「賃貸よりも持ち家の方がお金がかかるのでは?」と心配な人も多いことでしょう。ここでは、賃貸と持ち家の損得シミュレーションについて紹介します。
たとえば、以下のような条件のAさん、Bさんがいたとします。
- Aさん(25歳):賃貸、3LDK、家賃12万円
- Bさん(25歳):持ち家、3LDK、住宅ローン月12万9,367円(3,500万円30年返済)
Aさん、Bさんの支払いを見てみると、50代中頃まではほぼ同じとなっています。しかし、持ち家であるBさんは、住宅ローン返済が終わる55歳以降、住居費を支払わなくてよくなります。維持費等はかかりますが、ローン返済額・家賃に比べると、月々の負担はそれほど大きくありません。ローンを完済した後は、これまでローン返済に充てていた金額を老後のため、夫婦での旅行、趣味、孫、、、など、他のことに有意義に使うことが可能です。
高齢になるほど、さまざまなリスクが出てくるため、賃貸を借りるのが難しくなります。そのため、必ずしも住みたい家に住めるわけではありません。
持ち家であれば、そういった心配もありません。
年齢 | 賃貸派 | 持家派 |
---|---|---|
25歳 | 120,000 | 129,367 |
30歳 | 8,200,000 | 7,762,020 |
35歳 | 16,000,000 | 15,524,040 |
40歳 | 23,600,000 | 23,286,060 |
45歳 | 31,400,000 | 31,048,080 |
50歳 | 39,000,000 | 38,810,100 |
55歳 | 46,800,000 | 46,572,120 |
60歳 | 54,400,000 | 0 |
65歳 | 62,200,000 | 0 |
70歳 | 69,800,000 | 0 |
今は家を買いやすいタイミング
「家は早く買った方が良いと聞くが、まだ20代で収入もそれほど多くないし。。」
「家を買いたいとは思うが、これから先今よりも安くなったら後悔しそうだし。。」
など、家を買うタイミングがわからず、決断できないでいる人も多いことでしょう。
一般的に、家は若いうちに買った方が良いと言われています。これは、住宅ローンのことを考えてくるものです。
住宅ローンは最長35年返済で利用できますが、金融機関ごとで完済年齢が決まっているため、年をとると35年返済ができなくなってしまいます。25年や30年など、短い返済期間での利用となるため、毎月のローン返済額が高くなってしまうのです。以下は、3,000万円を固定金利1.5%、元利均等で借りた場合の毎月返済額です。
・35年返済:9万1,855円
・30年返済:10万3,536円
・25年返済:11万9,980円
・20年返済:14万4,763円
このように、返済期間が短くなれば、毎月の返済負担は重くなるため、相応の収入が必要になります。20代などの若いうちであれば、どの金融機関でも35年返済ができるため、毎月の返済負担をできるだけ抑えることが可能です。
また、現在は金利が低いため住宅ローンも利用しやすいタイミングです。日本政策金融公庫のフラット35(機構団信加入)の金利は、以下のように推移をしています。
2008年4月:2.64%
2009年4月:2.95%
2010年4月:2.59%
2011年4月:2.63%
2012年4月:2.16%
2013年4月:1.80%
2014年4月:1.75%
2015年4月:1.54%
2016年4月:1.19%
2018年4月:1.35%
2019年4月:1.27%
2021年1月:1.29%
このように、10年前と比べると1%以上も金利が低くなっています。仮に、3,000万円、35年返済で、金利2.64%と1.27%で比べた場合は、以下のようになります。
- 金利2.64%:毎月返済額10万9,512円総返済額4,599万5,313円
- 金利1.27%:毎月返済額8万8,512円総返済額3,717万5,280円
毎月返済額は約2万円、総返済額は約900万円も違いがあります。頭金で数百万円貯めたとしても、金利が上がれば頭金以上に損をしてしまうのです。
日銀の金融緩和もあり、超低金利時代が続いています。家は住宅ローンを利用して購入するため、金利によって支払額が大きく変わります。金利が少しでも低いタイミングで買うことこそが、負担をできるだけ抑えて家を買う方法なのです。
お金を貯めて家を買うこと
「家を買いたいので、頭金を貯めている」「貯金が1,000万円になったら家を買いたい」など、家を買うためにお金を貯めている人も多いことでしょう。もちろん、諸費用等が必要になるため、ある程度の自己資金はあった方が良いです。しかし、前述の通り、頭金を貯めている間に金利が上昇してしまったら、貯めた頭金以上に総支払額が増えてしまうため、頭金がなくても金利が低いタイミングで買った方がお得だったりします。
1年で500万円~600万円など、多くの貯金ができればいいですが、ほとんどの家庭では100万円貯金できればいい方ではないでしょうか。
しかし、100万円貯金しても金利が少し上昇するだけで相殺されてしまいます。
お金を貯めることよりも、いかに総支払額を抑えて購入できるか考えることが大事です。
年収も大幅に上がることは考えにくい時代でもありますので、負担を抑えるためにお金を貯めることよりも、早く決断することの方が実施的な負担が少ない場合もあることを覚えておきましょう。
ライフスタイルに合った家選びが大事
分譲マンション、注文住宅、建売住宅など、いざマイホームを購入しようと考えた場合、どの形態の家にするのか決めなくてはなりません。いずれも以下のように多くのメリット・デメリットがあるため、決めることには迷いが生じるものです。
- 分譲マンション
- メリット
- 駅から近く便利
- 利便性の良いところに住める
- 防犯性が高く安心
- ラウンジ、キッズスペース、ジム、プールなど共用施設がある
- SRCやRC造のため耐震性や耐久性、耐火性などが優れている
- 資産価値が落ちづらく賃貸や売却もしやすい
- 高層階は眺望や日当たりが良い
- デメリット
- 一戸建てよりも狭い
- 上下左右の騒音トラブルがあることも
- 広い庭がない
- 間取りや設備を自由に設計できない
- 管理費や修繕積立金、駐車場代がかかる
- メリット
- 注文住宅
- メリット
- 希望通りの間取りとデザイン
- 設備もすべて選べる
- 好きなエリアに住める
- 世界に1つのオリジナルの家ができる
- マンションよりも広い
- 上下左右の騒音を気にしなくて良い
- 駐車場代がかからない
- デメリット
- 建売住宅よりも割高
- 完成・入居までに時間がかかる
- 実物がないため完成の様子をイメージしづらい
- 個性的なデザインになると住みづらい
- 売却が難しい可能性
- メリット
- 建売住宅
- メリット
- 注文住宅よりも割安
- すぐに入居できる
- 完成した家を見て判断できる
- 比較的利便性の良い場所に住める
- 上下左右の騒音を気にしなくて良い
- マンションよりも広い
- 駐車場代がかからない
- デメリット
- 工事の様子がわからない
- 要望を反映しづらい
- 近隣住宅と似ているデザイン
- メリット
このように、それぞれでメリット・デメリットが異なるため「マンションか一戸建て」「注文住宅か建売住宅」と、悩んでしまうのも無理がありません。
どのような形態のマイホームにするかは、ライフスタイルをもとに決めてもいいでしょう。たとえば、駅近くで店舗や商業施設が多い場所に住みたいのであればマンションがおすすめです。
広い家で子供たちと遊んだり、庭でバーベキューなどしたい場合はマンションよりも一戸建てがいいでしょう。そして、自分たちの希望を反映させた家づくりをしたい場合は一戸建てでも注文住宅がおすすめです。予算や住宅メーカーなど、マンションや一戸建てを選択する基準はいろいろとありますが「〇〇な生活をしていきたい」など、自分たちのライフスタイルに合った選び方も1つの方法です。
ただし、ライフスタイルを基準としてマイホーム選びをする場合は、現在のライフスタイルだけでなく、将来のことも考えたうえで選ぶようにしましょう。ライフスタイルも、時が経てば変わるものです。そのため、今のことだけを考えると、後悔してしまう可能性があります。
そのためにも、マイホーム選びをする際は家族でじっくりと話し合うことが大切です。主権者となる人だけのライフスタイルを優先してしまうと、その人にとっては住みやすい家でも、他の家族にとっては満足度の低い家づくりになる可能性があるためです。
主権者だけでなく、家族全員のライフスタイルを理解し、みんなが満足できる家づくりを目指すことも大切です。
分譲マンション・注文住宅・建売住宅と、それぞれのメリット・デメリットを理解し、家族のライフスタイルや想いを共有したうえで、マイホームの形態を決めるようにしましょう。
大工の体験談
自宅を購入する際の費用ですが、これから先まだ値下がりするのではないかと先延ばしにする方もいます。また今は高すぎるから、もう少し値下がりしてからと思う方もいるかもしれません。
しかし都心や、都心に近い場所の不動産価格はなかなか下がるものではありません。
また住宅を建築するための建材や資材は、輸入品も多いためそういった部材は、これから先も基本的に値上がりするものだと思っておいてください。
一方実際の支払額は金利の低さによって低下傾向にあります。たとえ5年前より200万円住宅価格が値上がりしていたとしても、ローンの金利が0.5%下がっていれば毎月の支払額は今の方が安くなったりすることも多いのです。住宅を購入する際には住宅そのものの値段だけではなく、諸費用と、そして毎月の返済負担をしっかりと見定めた上で、どのタイミングで購入するのがベストなのか見極めていく必要があります。
私もお客様にご相談を受けた際には、必ず毎月何円の負担になるのか、実は今の方が安いケースもあるんですよ、とご提案させて頂いております。
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