贈与税がかからないボーダーライン(基礎控除)とは
マイホーム購入ともなれば、その金額は大きなものです。
そのため親から住宅資金を援助してもらったり、
お祝い金をもらうという例は多いですが、
その全てに贈与税がかかるわけではありません。
贈与税が発生するかどうかのボーダーラインはご存知でしょうか?
もし、ボーダーラインを超えてしまったとしたら、
税率はどのくらいなのでしょう。
数十万、もしくは100万程度の金額の授受について見てみましょう。
贈与税の基礎控除とは
まず結論として、110万円までなら贈与を受けても非課税になります。
この110万円を「基礎控除」と呼び、
贈与財産から控除(差し引く)できる金額となります。
例えば、120万円の贈与を受けた場合は、
120万円から110万円を控除した10万円が課税対象になるのです。
基礎控除内ならば申告の必要はなく、
「相続時精算課税制度」や
「住宅取得等資金にかかる贈与税の特例」
などのような特殊要件もありません。
また、課税計算は下図の速算表に当てはめるだけ。
非課税枠はそう大きなものではありませんが、
シンプルで分かりやすいのは大きな魅力です。
基礎控除後の課税価格 | 200万円超~300万円以下 | 300万円超~400万円以下 | 400万円超~600万円以下 | 600万円超~1000万円以下 |
税率 | 15% | 20% | 30% | 40% |
控除額 | 10万円 | 25万円 | 65万円 | 125万円 |
※最高税率は4,500万円超、55%
仮に大きな援助を受ける場合でも、
急ぎでなければ数年に分けて贈与を受けることも可能ですね。
基礎控除の注意点
【贈与暦年課税とは】
基準は1月1日〜12月31日までの1年間が基準となるため、
年初に110万円の贈与を受けた場合は、
同年中は控除の枠がありませんのでご注意ください。
これを暦年課税と呼びます。
また、1年間110万円の上限は、受贈者1人あたりの上限です。
贈る人ごとの要件ではありません。
つまり、両親2人から110万円ずつの贈与を受けたなら、
合計220万円となり110万円超過部分が課税されます。
【110万円以下でも贈与税がかかるケースとは?】
先ほど、大きな金額でも年数を分けて受贈すれば
贈与税がかからないと記載いたしましたが、
定期金給付契約とみなさた場合は課税されるので注意が必要です。
例えば、毎年100万円を10年間にわたり贈与している場合は、
「10年間にわたり100万円ずつ受け取る契約」だとして贈与税がかかります。
贈与の基本的性質は単発で発生するものなので、
継続性があると違った法的分類がされてしまうことがあるのです。
ご注意ください。
親子間なら更に有利
実は平成27年1月以降は、
祖父母からの贈与であれば贈与税が低くなる可能性があります。
基礎控除額は変わりませんが、
「特例税率」といって低い税率が適用されるからです。
- 祖父母など直系尊属からの贈与である(義父母は対象外)
- 受贈者がその年の1月1日において20歳以上である
上記2つの要件さえ満たせば、特例税率を適用できるのです。
基礎控除後の課税価格 | 200万円超~300万円以下 | 300万円超~400万円以下 | 400万円超~600万円以下 | 600万円超~1000万円以下 |
税率 | 15% | 20% | 30% | |
控除額 | 10万円 | 30万円 | 90万円 |
図表のAとBを比較すると、
110万円の基礎控除額は同じですが、税率が異なることが分かります。
特例税率は受贈額が300万円を超えるとメリットが生じますね。
ただし、適用を受けるためには
父母等からの贈与であることを証明するために
戸籍謄本や抄本など一定の書類を提出する必要があります。
なお、一般の税率が適用され得る贈与と、
特例税率が適用される贈与が行われた場合、
まずは別々に110万円の控除×税率で計算します。
その後各財産の全体財産における割合に応じて合算します。
※計算方法の詳細は国税庁HPをご覧ください
贈与税の基礎控除は、
他の軽減特例や非課税特例に比べ身近なものではないでしょうか。
要件や税率を知って、ぜひ活用されてみてはいかがでしょうか?
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