『長期優良住宅』とは、
長期間良好な状態で住むことができるとされる住宅です。
政府はいくつかの理由から優良な住宅の供給を目指しており、
認定を受ければ税制面等での優遇があります。
税制面でお得に言われる長期優良住宅ですが、
面積や設備基準があるため、
一般的な住宅と比較すると価格相場も割高になります。
果たして価格に見合うだけのメリットはあるのでしょうか?
認定基準や優遇の内容についてご紹介します。
国が優良住宅を求めている理由
空き家問題が背景に
優良住宅が優遇される理由として、空き家問題が挙げられます。
日本では人口減少が進んでおり、
相続する人のいない家(空き家)も増えることが予測されています。
空き家が増えることで街の空洞化や
荒れた家による景観悪化のほか、
空き家が犯罪拠点として利用されるのではないか?
などの問題が懸念されています。
そのため、相続人のいない家も、
中古住宅として流通可能な、質の高い住宅を増やそうとしているのです。
日本の街並みは、海外の一部地域と比較して、
耐用年数が短いことや統一感がないことで、
「景観が悪い」とテレビなどで問題にされることもありますよね。
経済の不透明感も影響
社会保障費の負担増や非正規雇用の増加も
長期優良住宅を求める一因となります。
収入が不安定だったり、所得の低い若年層にとっては、
耐久期間の短い家を購入するのはリスクが高いです。
現在は、家が傷んできたら建替えを行う人も多いですが、
それは経済的な余裕がある家庭に限ります。
購入後、メンテナンスをしながら一生住み続けることができる家、
そして相続が発生してもなお中古住宅として若年層に引き継ぐことができる。
それらのニーズを満たす高性能の住宅が求められているのです。
長期優良住宅の税制優遇について
長期優良住宅の具体的な税制優遇を見ていきましょう。
住宅ローンに関わる優遇
住宅ローン控除
住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高の1%が
10年間所得税から還付されるというものです。
この控除額には用言があり、通常は400万円ですが、
長期優良住宅(低酸素住宅含む)の場合は500万円に増額されます。
※平成26年4月~平成31年6月まで
住宅ローン金利の控除(代表:フラット35S)
全期間固定金利であるフラット35ですが、
省エネルギー性、耐震性などに優れた住宅はフラット35Sといって、
借り入れ金利を一定期間引き下げられます。
金利は金融機関ごとに異なりますが、引き下げ幅は年0.3%です。
ただし、この政策には予算金額があります。
予算金額に達する見込みとなった場合は、
受付が終了されてしまいますので注意しましょう。
税金の優遇
土地や建物といった不動産は、
登記簿で所有者登録をしないと第三者に対抗できません。
新築物件にはまず、「新しい建物ができました」という登録として、
所有権保存登記を行います。
その際、登録免許税という税金を支払うこととなっており、
所有権保存登記の本則税率は物件価格×4/1000です。
所有権保存登記は事業用でも行いますが、
個人の取得する新築住宅であれば、
それだけで税制優遇を受けることができます。
特定認定長期優良住宅、
特定低炭素住宅等の場合はさらなる優遇が受けられるのです。
所有権保存登記の登録免許税
本則 | 4/1000 |
A:個人が新築住宅を、自己の居住用として登記する場合 | 1.5/1000 |
Aで特に特定認定長期優良住宅、特定低炭素住宅等の登記の場合 | 1/1000 |
また、売却した場合に行う所有権移転登記についても、
長期優良住宅は軽減税率があります。
固定資産税(建物分のみ)
次に、固定資産税についての優遇です。
もともと新築住宅は、
固定資産税が一定期間1/2になるという減額措置がありますが、
その適用期間も一般住宅より延長されます。
一般住宅の軽減措置 | 長期優良住宅の軽減措置 | |
---|---|---|
一戸建住宅 | 3年間 半額 | 5年間 半額 |
マンション | 5年間 半額 | 7年間 半額 |
固定資産税は毎年のことですので、
一定期間とはいえ「半額」になるのはうれしいですね。
このほか、住宅を取得する際にかかる不動産取得税も、
控除額が増額されるといった特例があります。
留意すべき点として、基本的にこれらの特例は、
期限や住宅の床面積や登記の期限といった要件があります。
基本的に要件に難しいものはありませんが、
個々の特例により若干違いがあるので気を付けましょう。
どんな規定があるのかは早い段階で知っておくと安心ですね。
長期優良住宅の認定方法は
最後に、長期優良住宅とはどういう住宅なのかについて触れます。
長期に渡り良好な状態で居住できる建物として、
以下の基準が定められています。
- 長期に使用するための構造及び設備を有していること
- 居住環境等への配慮を行っていること
- 一定面積以上の住戸面積を有していること
- 維持保全の期間、方法を定めていること
(認定長期優良住宅とは|一般財団法人 住宅性能評価・表示協会より抜粋)
これら4つの措置を講じ、
都道府県(もしくは市・区)に認定申請を行うことで、
長期優良住宅となることができます。
措置の具体例としては、
「高齢者への配慮」「良質な温熱環境」などが挙げられます。
素人には理解しにくい部分ですので、
ハウスメーカーや工務店の設計士に確認し、
性能や耐久性に納得の上購入することをおすすめします。
まとめ
長期優良住宅として注文住宅建てるには、
短期的にみると、建築費用が高くなるかもしれません。
高コストというとデメリットに聞こえるかもしれませんが、
予算の範囲内で良い家を建てられるのであれば、決して損ではありません。
税制優遇やローン控除というメリットもありますし、
一般的な戸建住宅のメンテナンス費用の相場は、
10年毎に100万円と言われており、
さらにリフォームや改築の可能性も考慮していくと、
長期的にみれば低コスト(お得)と言えるのではないでしょうか?
雇用問題や国民年金減額が懸念される今、
将来の出費を抑えるための選択をする方も増えています。
これから注文住宅を建てよう、家を買おうと考えている人は、
長期優良住宅についてもぜひご検討ください。