入居後の10年間は住宅メーカーが瑕疵担保責任を負う
末長く安心・安全に暮らしていくためにも、完成後の保証内容が気になる人も多いことでしょう。マイホームが完成して10年間瑕疵担保責任があるため、万が一、瑕疵が見つかった場合は保障を受けることができます。
建築事業者に義務づけられた住宅瑕疵担保責任の範囲は以下のとおりです。
構造耐力上主要な部分
小屋組、屋根板、斜材、壁、横架材、柱、床版、土台、基礎、外壁、基礎杭など
雨水の浸入を防止する部分
屋根、開口部、外壁、排水管など
品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)によって、住宅メーカーは瑕疵担保責任を負うことが義務化されています。もし、会社が倒産しているなどの理由で補修できない場合は、保険法人に対して費用を請求することが可能です。
住宅メーカーによって異なる保証
瑕疵担保責任はどの建築事業者にも義務づけられ、内容は同じです。また、会社ごとで瑕疵担保責任以外に、独自の保証制度を設けていることが多いです。なかには40年~50年など長期の保証を提供している会社もあります。
大抵、これらの保証制度は、会社が指定した検査や有償のメンテナンス工事を実施していることが条件になっています。有償といえども長期保証があるのは、入居者にとってメリットが大きく、生活していくうえでの安心材料になります。
アフターサービスも会社によって異なります。最初の頃は3ヶ月~半年、その後は1年~2年や5年ごとに家に不具合がないか検査をしたり、困っている点に対してアドバイスをしてくれます。
他にも、24時間対応のコールセンターを設置している会社もあるため、住まいのことで何か困ったことがあればすぐに相談をすることも可能です。オーナー専用のWEBサイトを用意している会社もあって、サイト上で住まいのメンテナンスに役立つ情報を提供していたり、割引価格で商品を販売していたりします。
住宅メーカーにとってはアフターサービスを丁寧におこなうことで、会社の良い評判が広まり、建主の紹介やリフォームを依頼される可能性があるためしっかりと対応してくれます。建主としても、いつでも相談できる体制があって、定期的に検査・メンテナンスに来てくれるため住まいの安心・安全が長く続きます。
家を建てる上で必要な契約書や申請書
マイホームを建てるうえで、さまざまな契約書や申請書をチェックし、取り交わす必要があります。土地を購入する業者と契約する場合は、重要事項説明を受け、売買契約を締結しなければなりません。以下は、家づくりにあたり覚えておいた方が良い契約書類や添付書類、契約時のポイントです。
重要事項説明
重要事項説明は契約の前におこなうもので宅建業法で定められています。土地や建物に関する重要事項説明において、所有権や地目、規制など、さまざまな重要事項が記載されています。また、宅地建物取引主任者より説明を受けます。
売買契約書
契約書には、土地や建物などの売買金額や支払い条件、面積、所在地、引き渡し日など、契約にあたり重要なことが記載されています。
契約約款
売主・買主それぞれの権利、解約方法や条件、契約履行にあたり守ることなどが記載されています。
請負契約約款
請負者や注文者、監理者の責任、契約変更、瑕疵担保などについて記載されています。
工事内訳明細書
工事内訳明細書には、材料や数量、単価など、工事代金の内訳が具体的に記載されています。
設計図
設計図には、平面図や配置図、立面図、断面図、電気設備図、矩計図などがあります。
建築物仕様書
材料の品質や性能、施工方法などが記載されています。
工事工程表
工事の工程が記載されている管理表です。
特約事項
売主と買主が合意したうえで契約書や契約約款に記載されていない事項を載せることができます。あとでトラブルになりそうなことを記載して回避するために使用されます。
重要事項説明では、土地や建物、登記、制限内容についてしっかりと確認をしましょう。昔の不動産であれば登記簿面積と実測面積が異なる場合があるため、事前に敷地調査をする必要があります。所有権や抵当権、法令に基づく制限についても軽く流すのではなくチェックしてください。
住宅性能表示制度とは
マイホームの性能を客観的に知ることができる住宅性能表示制度についても覚えておきましょう。住宅性能表示制度とは、住宅品質確保法に基づく制度で、第三者による検査をおこない、以下10分野のものさしで住宅の性能がわかります。
- 防犯:開口部の侵入防止対策
- 高齢者等への配慮:高齢者等配慮対策等級など
- 構造の安定:耐震等級など
- 音環境:重量床衝撃音対策等級など
- 光・視環境:単純開口率など
- 温熱環境:省エネルギー対策等級など
- 火災時の安全:耐火等級など
- 劣化の軽減:劣化対策等級など
- 空気環境:ホルムアルデヒド発散等級など
- 維持管理・更新への配慮:維持管理対策等級など
※平成27年4月からは「構造の安定」「温熱環境」「維持管理・更新への配慮」「劣化の軽減」の4分野が必須評価科目
住宅性能表示制度は、国土交通大臣に登録された登録住宅性能評価機関が性能評価をおこない、その結果を住宅性能評価書として交付します。もし、住宅性能評価書が交付された家でトラブルが発生した場合は、国土交通大臣が指定する指定住宅紛争処理機関にて、紛争処理を申請することが可能です。これにより、裁判によらず円滑・迅速に紛争を処理することができます。紛争処理の手数料は1件あたり1万円と高くもありません。
住宅性能表示制度を利用する主なメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット
住宅性能表示制度を利用することで、住宅ローンや地震保険などが有利になる場合があります。たとえば、地震保険であれば耐震等級によって割引内容が変わってきますので、耐震等級3であれば割引率50%など大幅な割引を受けられる可能性があります。また、客観的な評価を得ることができますし、住宅のトラブルが起きた場合に紛争処理機関が間に入ってくれます。専門家の調停や仲裁をリーズナブルな金額で受けることが可能です。
デメリット
各等級を上げるとなると、その分コストが高くなってしまいます。また、住宅性能表示制度の利用は無料ではありません。利用するには10万円?20万円の費用がかかります。住宅性能評価書を取得したからといって、家に不具合が起きないと保証されたわけではありません。評価対象は限られますので、それ以外の部分で何らかの不具合が起きる可能性はあります。
このようなメリット・デメリットがある住宅性能表示制度ですが、安心を得る材料の1つになることは確かなので検討してみてはいかがでしょうか。
大工の体験談
注文住宅を建てる方は、その家を終の棲家にするぐらいの気持ちで、購入される方が多いのではないでしょうか。そのため今だけ良ければいいというわけではなく、20年後30年後そして50年後60年後でもきちんと居住できる住宅である必要を私達も感じます。
我々の立場としてはそういった長く住める居住性能を実現した住宅を建てなくてはいけませんし、性能を証明するための機関や制度も最近ではたくさん生まれています。
国でも長期優良住宅の推進をしていますから、品質が良く長く住むことができる住宅を購入することは、実は数々のメリットがあります。品質の良い住宅はお金がかかるから敬遠されるお客様もいらっしゃいますが、経済的にはさまざまなメリットがあるのです。住宅ローンでも優遇されますし、火災や地震保険料も安くなります。
そういった制度について、やはりお客様の中にはまだまだご存知でない方もたくさんいらっしゃいます。色々な優遇制度が利用できるケースがあり、住宅の建築コストを抑えられることもあります。そのような制度のお問い合わせも、専門家に相談することをお勧めします。