地震による火災は火災保険の対象外
だということはよく知られていますが、
地震保険が適用されたとしても、
家を再建するほどの保険金はおりないことをご存知でしょうか?
ひとたび大地震が起これば、
多くの家屋が被害を受け、それ以上の人が被災する恐れがあります。
そのため地震保険は、補償額はやや低めでも、
保険料を抑えて多くの人が加入できる保険なのです。
頼れる地震保険の全貌に迫ります。
地震保険は火災保険の上乗せ保険である
「さあ地震保険に加入しよう!」
と思ってもちょっと待ってください。
実は、地震保険は単体での加入はできません。
火災保険の上乗せ保険としてしか加入ができないのです。
「火災保険?いやいや我が家はオール電化だし、
タバコを吸う人もいないから火災保険は必要ない」
と思う人もいるかもしれません。
しかし火災保険も非常に大事な保険です。
その理由は2つです。
■火災保険と地震保険を併用するべき2つの理由
火災の原因はタバコやガスの火だけとは限らない
東京消防庁によると、
出火原因の第1位は「放火」になっており、
たとえオール電化の家でも安心できません。
2位以降はコンロやタバコといった不注意によるものが並びますが、
8、9位には配線、配線器具……と、
また自衛が難しい出火原因が並びます。
自己管理だけで、火災を防ぎきることは難しいのです。
もらい火でも損害賠償されない?!
もし、近隣の住宅が出火し、あなたの家も被害を受けたらどうでしょう。
あなたとしては当然、出火した家に損害賠償を請求したいところです。
しかし、失火責任法という火災に関する法律では、
「重過失でない限り損害賠償できない」としています。
これは木造家屋が密集しがちな日本の住宅事情では、
ひとたび火災が発生すると大規模火災に発展する可能性があり、
出火した家(家主)だけでは賠償しきれない
という事態が想定されるからです。
そのため重過失でない限り損害賠償を制限しているのです。
これら2つの理由から、
地震保険の下地である火災保険も、
重要な保険であることがわかります。
未加入の方、そして家を新築される方は、
ぜひとも両方セットでの加入をおすすめします。
地震保険の補償内容は?
冒頭でも述べたように、
地震保険は「被害額をまるまる補償してもらう」
という性質の保険ではありません。
地震保険の特色をさらに詳しくご紹介します。
- 対象は住宅と家財
30万円を超える貴金属・宝石・書画・骨とう品のほか、
現金や有価証券も対象外です。
高級品や嗜好品ではなく、生活の基盤となる建物と家財が対象となります。 - 保険金額は主契約の火災保険の30%~50%の範囲内
ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限です。 - 保険料は建物の構造と地域によって決まる
頑丈な構造の方が保険料は割安になります。
また、耐震割引、建築年割引などがあります。 - 被害状況の判定は「全損」「半損」「一部損」の3段階
被災者にとっては迅速に被害状況を見極め、
早急に保険金が支払われることが望ましいです。
そのため、被害状況の判定はシンプルに3段階となっています。
段階ごとの保険金額は表の通りです。
対象 | 段階 | 保険金額 |
建物 | 全損 | 建物の保険金額(契約金額)の全額 (ただし時価が限度) |
半損 | 建物の保険金額の50% | |
一部損 | 建物の保険金額の5% | |
家財 | 全損 | 家財の保険金額の全額 (ただし時価が限度) |
半損 | 家財の保険金額の50% | |
一部損 | 家財の保険金額の5% |
保険金額の縮小はあり得る?
地震では被害が広範囲に渡る可能性があります。
仮に保険会社の経営が危うくなるほど保険金額が巨額になった場合、
保険金額が縮小されることはあるのでしょうか?
実は、1回の事故によって
損害保険会社の支払い総額が7兆円を超える場合には、
保険金額が削減されることがあります。
しかし、この特例が措置が適用された例はなく、
戦後最大の震災といわれる東日本大震災でも上限には達しませんでした。
過去の事例からいえば大抵の災害に関しては安心してよさそうです。
地震保険控除という税制優遇
地震保険に入っておいた方がいいのはわかるけど、
「家計に余裕がなくてとても…」という人も、少なからずいるかと思います。
そんな方にぜひ知っておいていただきたいのは、
地震保険には地震保険控除が適用されることです。
これにより、地震保険料のうち
所定の金額には所得税と住民税がかからなくなります。
控除額は、地震保険料が5万円が上限となり、
上限以下であれば全額が控除可能です。
地震保険まとめ
通常の保険の場合、
「必要な額の保険金額を貰いたい」
「補償額が少ないならば加入したくない」
といった意見も多いです。
しかし地震保険の場合、被害総数が多くなりがち、
かつ、家や家財という金額の大きなものが対象のため、
保険会社が全額補償にする為には、保険料を高額にせざるを得ません。
そうすると高額な保険料を払えるのは一部の人だけとなり、
一番保険が必要な一般世帯が加入できなくなってしまいます。
そのような事態を避けるために、
補償額を抑え、その分保険料も安くなっています。
補償範囲が狭いのは、より多くの人を救済するための知恵だと言えるのです。
制限があるからこそ優秀な地震保険、
あなたも加入を考えてみませんか。