新築住宅の検査ってしっかりしているの?
先日、なんとなくテレビを見ていたときのことです。
家を購入したという芸能人が、
「最近の家は、耐震基準とか検査もしっかりしているから安心。」
という話をしていました。
この話を聞いていて、前半部分はおおむね同意、
後半の「検査」について、少し引っかかるところがあったので、
住宅検査の現状について話してみたいと思います。
ところで、最初にお聞きしたいのですが、
住宅の検査についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?
- 検査員が、厳格に検査をして指導している
- 現場監督が毎日チェックしている
- 日本の建築物だから安心して住める
私は大工を始める前は、こんなイメージをもっていました。
ですが、今では「検査など全くあてにならない」
というイメージに変わっています。
というのも、真っ当な検査を受けたことがないからです。
新築の注文住宅では、構造が組み終わり、
耐震金物がついた段階で、確認検査があります。
その時に、行政の検査員が来るのですが、
金物の位置を確認する程度ですんなり終わってしまいますし、
検査員によっては2階にすら上がってこないことも。
検査員が来たことにすら気づかずに終わった現場もありました。
中でも、住宅検査のいい加減さを痛感した瞬間があります。
私が東京のとある工務店に所属していた時のことです。
私が仕事をしていると、M君という現場監督がきて、
「写真撮っていってもいいですか?」と、
パシャパシャ撮るなり、すぐに帰ってしまったことがありました。
後日、理由を聞いてみたところ、
「別の現場で金物の入れ忘れがあって、
もう壁をふさいでしまったから、この現場の写真を提出した」
という返事が。
このときは呆れを通り越して、「その手があったか!」と、
関心してしまったのを覚えています。
戸建住宅の年間着工棟数は、※354,772戸ですから、
毎日、こんな事例が起きているのかもしれません。
欠陥住宅が後を絶たないわけですね。
※25年度 国土交通省調べ
これは私だけの経験ではなく、
周囲の大工の多くも同じような印象をもっているようです。
ですから修行時代には、
「検査なんていい加減なんだから、お前がしっかり確認しろ」
と言われていたものです。
こんな現状がある中で、
なぜ、日本の建築業界は厳正な検査がされている
というイメージが広まっているのでしょうか?
おそらくですが、高層ビルを建てている
大手ゼネコンの検査体制のイメージが、
そのまま住宅に投影されているからだと考えています。
ゼネコンの検査体制はとにかくすごいですね。
私は以前、大手ゼネコンの下請け仕事で、
55階建ての高層ビル内にお寺を移設するという
新築現場に携わったことがありました。
鬼のような検査官が毎日不定期に見回りに来て、
隅々までチェックをしていきます。
検査官がくると、一瞬で周囲に緊張感がはしります。
なぜなら、少しでも不備があったり、規則に反していると、
ヘルメットに“×印”がつけられてしまうからです。
×印は、「コイツはルールを守らない危険人物だ」
という意味で、×印を複数つけられた人は、
現場から強制的に追い出されてしまいます。
検査官自身も、自分の担当範囲内で問題が起こると
厳しい罰則があるそうです。
我々は普段、テレビのニュースや特集番組で、
このような厳しい体制の工事現場(最近ではスカイツリー)
を目にする機会が多いので、
同じ建築現場である一般住宅でも
厳しい検査がされているはずだと思ってしまうのかもしれません。
まとめ
一般の戸建住宅の検査体制は、まだまだあまいです。
とはいっても、私は作り手の意識さえ高ければ、
検査は不要なくらいだとも思っています。
社長や職人の人柄を確認し、
信頼できる住宅会社を選びましょう。
また、最近では第三者機関に検査を依頼する人も多くいます。
価格は1回の検査につき5~6万円程度が相場です。
その後の毎日を安心して過ごせるように、
検査を依頼するという選択も良いかもしれません。